手越祐也シンフォニックコンサート Vol.3

2024年5月4日(土)東京オペラシティコンサートホール

画像

 

ちょうど1年前、シンフォニックコンサートのVol1に入り、感動を文字に書き残したいとこのブログを始めて、この日は3回目のシンフォニックコンサート。たった1年で3回目。オーケストラのライブは彼が望むだけではできない。団員の方のスケジュール、ホールのスケジュール、何よりも、主催者が手越君とまたやりたいと思ってくれなければ実現しない。彼の活動はエンタメを担う方々に確実に届いているのだ。

 

昼の部の一番の思い出 

それは泣いてしまったアンコールだ。七色エールからモガケ!と続いて、この2曲は独立後の彼の軌跡が深く刻まれているので、そうでなくてもぐっとくるのだが、モガケ!で、一緒に歌ってという仕草を彼がしたので声を出した瞬間、気持ちがどっとこみあげてきて涙が出そうになって声が詰まってしまった。次の曲はどうかセクシー系かロック系でと願っていたのにOVER YOUで、もう涙腺崩壊。そして最後の挨拶でスタンディングオベーションに感動したのか、手越君の、「どうしていいか分からないくらい、めちゃくちゃ幸せです」との言葉に、さらに大号泣。

悲しい涙ではなくて、ここまで一緒に進んできた幸せ、贅沢なオーケストラの音色を聴けた幸せの涙だった。ここに入っている人数は東京ドームなんかに比べたら何十分の一かもしれないが、幸せの濃度は世界一、宇宙一だったと思う。

 

夜の部の一番の思い出 

これはもう衣装。舞台袖の扉が開いて出てきたのは黒い燕尾服の2人。一瞬、マエストロが2人?と思ってしまった。昼の部は白、夜の部は黒で、どちらがお好み?と聞かれたら、黒!と答える。白は光の跳ね返りが眩しすぎるけど、黒はよい感じに光が吸収されて、手越君自身が際立つのかもしれない。舞台袖に去っていく後ろ姿も、引き締まっていて美しかった。

 

曲の印象

絆の曲たち

昼の部の2曲目のLOVER。シナモンに続いてのこの曲は、どこか切ない彼女への愛が、いつも以上に深く広がっていくようで、これを聴いて喜ぶちあきさんの顔が思い浮かぶようだった。everlastingのドラムの音が騎兵隊の足音のようで力強かったし、アダルトブルーはCDの音の物足りなさを補うアレンジで感動的。

夜の部のface to faceも、オーケストラ編曲がとてもよかった。ダンスがあるのもいいけれど、シンプルに歌だけで弦楽器の音に乗るこの曲もとても良い。Gluttonyは夜の部のロックテイストの他の曲たちにすっかり馴染んでいた。

My Own Beatは昼も夜も歌って、もちろん、歌も編曲も最高だったのだが、それ以上に感動的だったのが、夜の部のオーケストラメドレーの最後にこの曲がコンサートマスターのバイオリンとハープで奏でられ、バイオリンの音だけで静かにしめくくられたこと。ライブの興奮を鎮めて、さあ、踏み出そうという気持ちにさせてくれた。歌がなくても、詞が思い浮かぶ。いい曲だ。

 

グループ時代のソロ曲が多かったこと

今回も1部と2部はセトリを変えてきた。そして2部はグループ時代のソロ曲がかなり多かった。

正直に言うと、私はグループ時代の彼のソロ曲にはあまり思い入れがない。WHITEで初めてNEWSのライブに入って、そこから彼のソロ曲は聞いているのだが、あまり興味が湧かなかった。なぜ?という気持ちを検証したくなり、このライブの数日後、「美しい恋にするよ」から「WORLDISTA」まで、彼のソロ曲を中心に見てみた。それで、何となく理由が分かった。失恋曲が多い。しかも、声を張り上げてすごく切なく歌う。それが私にはちょっと苦しかったのだ。

 

でも……

 

オーケストラで演奏されたその曲たちは、苦しさを感じさせなかった。壮大な音のせいだろうか。実は会場で聞いたいたときには、昔の曲が多いなあとちょっと冷めていたのだが、こうして過去のライブ映像を見てから思い出してみると、もう一度、オーケストラであの曲たちを聴きたい。壮大な音に乗る失恋曲が、個人の切ない思いから、物語へと変化したのか。思い入れの少なかった過去のソロ曲たちも、これから私の中で今の曲として変わっていくかもしれない。

それにしても、I’m comingをオーケストラで演奏していただけるとは思わなかった。照明も赤が点滅してなかなかに激しかったが、でも激しさだけでなく艶やかさがあるのはオーケストラならではなのだろう。声の出し方も、いつもより柔らかく出していたように思う。

 

漆黒の闇?

夜の部のコンセプトは漆黒の闇とのことだったが、私の思う漆黒の闇は魔物の鳴き声しか聞こえないおどろおどろしい世界だけど、今日の夜の部の曲たちが表す世界は、繁華街のネオンのきらめきの横に潜む漆黒の闇かも…

 

座席

昼の部が1階後方、夜の部が2階正面の最後列だった。

これまで1階席は前方が多くて、前方だとオーケストラの音が個別に聞こえてきて、それもすごい臨場感なのだが、後方の席は歌と演奏が一体になって振動と共に前から押し寄せてきて、体中で音を受け止めるような感じだった。

2階席は上からほわっと音が降ってくる感じで、振動はあまりこない。目線も上から全体を眺める感じになるので、全身が包まれるようにリラックスして音楽を楽しめる。

もうこれは好みの問題だと思うが、自分的には1階後方はなかなか良いと思った。

 

ただ、上からだとオーケストラの演奏者がよく見えるので、いろいろな発見があって面白い。今回はタンバリンの方に注目。弦楽器や管楽器と違って、誰だって一度はタンバリンを叩いたことはあると思うけれども、あんなにかっこよく叩けることを私は知らなかった。小学生の自分に教えたい。

 

思うこと、いろいろ

シンフォニックで毎回、感じるのは、こんなにたくさんの方たちに支えられて歌う手越君を見られる感動だ。オーケストラの団員になるような方々は、小さいときから練習してそこに居るわけで、そんな音楽に半生をかけてきたような方たちが彼のために熱意を持って演奏してくれる。そしてステージを埋め尽くすほどの人数が彼のために集ってくれている。そこにはどうしても贅沢さを感じざるを得ず、ファンとして誇らしい気持ちになる。

自分のことでもないのに誇りに思うなんてと言われるかもしれないが、彼を見つけた自分を褒めてあげよう。上に書いたように、グループ時代には彼の歌にあまり興味がなかった私。彼が独立したことは、私にとって、とてもとても大きなことだったのだ。

 

そして、いろいろなライブの楽しみ方を提供してくれるのも贅沢だ。

手越君自身が新しいことを常に求めていくタイプだから、きっと、決められた四角い箱にきっちり収めるのは好きじゃないんだろうと思う。その時その時の空気によって形を変えてくるのだけど、シンフォニックでは音の数が多い分、その多様さは計り知れなくて、彼もそれを楽しんでいるように思う。そして私たちは見たことのない風景を常に見せてもらえるのだ。うーん、贅沢。

 

シンフォニックも3回目となり、見る側も余裕が出て来た。Vol.2の1部では立つタイミングを逸してスタンディングオベーションができなかったのだが、今回は1部、2部ともスムーズだった。手拍子も自然に出るようになった。

そう言えば、演奏にあわせて手拍子していると思っていたら、手拍子に合わせて演奏してるんだよと言われて責任重大!と思ったが、オーケストラであっても、観客も一緒に音楽を作るのだということに、音楽の原点を教えられたような気持ちになった。

 

手越君が、今年はみんなに恩返しをする年と言っていたけれども、私は何も貢献していないのにこんなにすてきな音楽を贈ってくれて、せめて、お礼だけでもいっぱい言いたい。

素晴らしいコンサートをありがとう💖