シンフォニックコンサート

東京オペラシティ 2023年5月4日)

 

音の海にダイブしたような、体全体が幸せで満たされたコンサートだった。

9列目のステージに向かって左側の席だったので、斜めからではあるけれど表情までよく見えて、途中、あまりの眩しさに目を瞑って音だけ聞いたり、とても贅沢な時間だった。

 

<登場の瞬間>

オーケストラの方たちが全員、位置につき、舞台袖の扉が開いて、いよいよ手越君の登場かというとき、右側の席の方からは待機する彼が見えたらしく、ふわぁみたいな声が上がり、期待が膨らむ中、ついに現れた手越君。これは声が出る。シンプルな白い燕尾服姿はまさに王子様で、思わず開いた口にマスク越しに手を当てた。

 

<1曲目 モガケ!>

開演のブザーが鳴って、オーケストラの方たちが舞台に入って来るのを見ていたら、こんなに沢山の人が手越くん一人のために演奏してくれるんだと胸がいっぱいになって、そして始まったのがモガケ!

この曲が初めて披露された日からのことが頭に浮かんで、ここまで来たんだなあと、涙で王子様が滲んでしまった。

でも、感傷に浸るだけでは終わらなかった。

途中でオーケストラの方たちがクラップを先導してくれて、堅苦しさを取り払ってくれたおかげで、リラックスして聞くことができた。慣れていない観客が多いと予測しての、手越くんのアイデアだろうか。

 

勝手な想像で、オーケストラが入るからクラッシックのコンサートのような厳かな感じになるのかな思っていたが、そこはさすがの手越君。彼らしさ満載のシンフォニックコンサートだった。

実はモガケ!の最初の歌詞が少し聞こえづらくて、オーケストラに負けてる?と思ったのだが、全くそんなことはなかった。4人とか6人とかのバンドの音に比べれば当然、音の厚みがすごくて耳が慣れなかったのもあるのだが、バンドのときは手越くんの歌も含めて一つ一つの音が絡み合う感じだけど、オーケストラだと音の波の中に手越くんの歌があるみたいな感じだった。歌い方も、CHECK MATEのライブより滑らかに歌ってる感じがした。

みんなで音楽を楽しもうねと、このコンサートを位置付けてくれた最初の一曲だった。

 

<シナモン、Ready Steady>

続いては彼のファーストシングル、シナモン。そして、最新アルバムの最終曲であるReady Steadyと続く。

シナモンはやるだろうと思っていたが、Ready Steadyは意外だった。が、その後、意外過ぎる曲が続々、出てきて、最初の驚きはすぐに消えた。

 

<Peaceful for you、ONE LIFE、この手とその手、Snow White>

Peaceful for youはCHECK MATEを何度も聞くうちに好きになっていった曲だが、オーケストラの演奏で歌うと、まるで映画のエンディング曲のようだった。英語の歌詞のところもすごく感情をこめて歌っていて、ここは本当に日本なのかと思うほど自然だった。彼は動物にも着ぐるみにも壁のない人だから、言語に壁なんてあるわけないのだろう。

ONE LIFEとこの手とその手、この2曲はやるだろうなと思っていて、でも、歌い方が柔らくてきれいだった。

こんな感じの曲が続くのかと思ったら、次はSnow White。季節も違うし、なぜ選んだのかと思ったが、MCで彼自身が言っていたけど、確かにオーケストラの演奏に合う。シャンシャンもきれいだった。しかも、途中で一緒に歌おうって、オーケストラだろうがなんだろうが、観客も一緒に楽しもうという彼が好きだ。

 

<MAZE WORLD、LUV ME, LUV ME、Venus Symphony、HONEYYY>

そのあと、MAZE WORLDが来て、本当にびっくりした。あの曲はMVだけで聴いてた時からの変容ぶりがすごすぎる。かっこいい!ってのけぞりそうになっていたら、LUV ME, LUV ME、Venus Symphony、HONEYYYときて、ハイテンションになりすぎて、ちょっと記憶が飛んでいる。

オーケストラって、何でも、どんなふうにも演奏できるんだということも驚きで、オーケストラと言えばクラシックという思い込みを反省した。

 

<七色エール>

次が最後ですと言われて、みんなのえー!の中、七色エール。この曲も初期からある曲だから、オーケストラで歌える日が来たことが本当に嬉しかった。

終わって時計を見たら18時15分くらいだったので、短いと感じたのは本当だったのだが、途中、着替えで引っ込むこともなかったし、MCも彼にしては短かったのでオーケストラの方の演奏もずっと続いてたし、このぐらいが限界で、あと、2曲ぐらい歌って終わりかなと思ったら、アンコールが本編に匹敵するぐらいの充実だった。

 

<アンコール ウインク、サイダー、OVER YOU>

ウインクのアレンジも、これまた映画みたいなわくわく感満載だし、サイダーは壮大な愛の歌になるし、そしてついにきたOVER YOU。これは圧巻だった。

もともと大好きな曲だけど、厚い音に乗る彼の歌に感覚が麻痺して、すごい以外の言葉が出ない。人間、感動しすぎると言葉なんて消えるんだ。

 

<アンコール プロポーズ>

OVER YOUがやり切った感があったので、これで終わりかなと思ったら、なんともう1曲、プロポーズ。

あの服で、あの曲は、プロポーズされて結婚式まで挙げた気分。こんなおばさんをこんな気持ちにさせるなんて、なんて人だ!

 

<終演>

挨拶があって、1回、引っ込んで、もう1回、マエストロと一緒に出てきて、オーケストラの紹介などして引っ込んで、クラシックのコンサートだと、そのあと、何度か舞台に出てきてお辞儀だけしたりするけど、そうじゃなかった。オーケストラの演奏によるプロポーズをメインにしたメドレーが始まったのだ。これがまた素晴らしくて、このおかげで今日のコンサートの余韻を心のうちに収めて、心地よく帰途に着くことができた。BGMとして流したいので、音源が欲しい。

(挨拶の順番が違ってたかも。判明したら書き直します)

 

<オーケストラ、会場>

何の曲かは忘れたけれど、コンサートマスターの方が肩を揺らしながら情感たっぷりに弾いていらっしゃって、こちらまで一緒に熱い気持ちになったし、最後、団員の方がはけるときに皆さん、笑顔で、オーケストラの方たちも演奏を楽しんでいただけたのかなと嬉しい気持ちになっていたら、終演後のTwitterの団員の皆さんの感想が楽しかったという言葉で埋め尽くされていて、周囲も巻き込んで元気にしてしまう手越君のHONEYYYであることが、ちょっと誇らしい。

音楽専用ホールなので反響がきれいで、みんなの手拍子も響き渡って、きっとあれは演者にも伝わっているよね。アンコールの手拍子もあっという間にそろって、そういう一体感も楽しめた。

スピーカーは使っているけれど、楽器の音が鳴っている方向から聞こえてきて、そんな自然な感じもよかった。2階や3階だと音がまとまって聞こえてきて違う迫力がありそうなので、また、シンフォニックコンサートをやってください。

 

<最後に>

彼のビジュアルの美しさと、歌のパワーと、オーケストラの音の厚みで、これが私のエンタメのデフォルトになってしまったら、この先、相当なレベルのものでないと楽しめないかもしれないなどと思ったけれども、手越君は自ら、それを超えてくるのだろう。

間奏や後奏でオーケストラの音を聞く手越君はものすごく幸せそうで、大変なこともあったけど、今が最高で、きっとこの最高を更新していくのだろう。

 

最後の挨拶で、胸に片手を当てて各方向にお辞儀をする姿は本当に美しくて、そんな現実を体験することができた私はもしかして、すごい強運を持っているのかもしれない。

ポジティブ!